![]() | シャイン・オン(初回限定盤) ジェット (2006/10/04) ワーナーミュージック・ジャパン この商品の詳細を見る |
曲目
1レスプリ・デスカリエ
2ホリデイ
3プット・ユア・マネー・ホエア・ユア・マウス・イズ
4ブリング・イット・オン・バック
5ザッツ・オール・ライズ
6キングス・ホーシズ
7シャイン・オン
8カモン・カモン
9スタンド・アップ
10 リップ・イット・アップ
11 スキン・アンド・ボーンズ
12 シャイニー・マガジン
13 エレノア
14 オール・ユー・ハフ・トゥ・ドゥ
15 ホールド・オン
(Bonus Track)
ただひたすらロックンロールするオーストラリアンバンド
前作のデビューアルバム「Get Born」がすごく気に入っていたので、このセカンドも期待していたが、今度のアルバムもなかなか内容のある素晴らしいアルバムになったのではないかと思っている。
この21世紀、こういうストレートなロックンロールをやってくれるバンドというのが今や貴重な存在になってしまっただけに、こういったアルバムに出会うと、私のような中年ロックファンはうれしくなる。
全編ギターサウンド、ギターロックという感じで、今どき珍しいくらいにストレートなロックンロール・サウンドだ。
それに加え今作は、アルバム中盤で3拍子のミディアム・テンポの曲やメロウな曲などもあり、デビューアルバムにはなかった音楽的な成長も見せている。
ヒップホップに代表される「時代の音」などを変に取り入れるような事もせず、ただひたすらロックしているところがいさぎよくて気持ちがいい。
自分達のかっこいいと思う音を思いきり表現しているところがいいのだ。
このあたりのいさぎよさは、オーストラリア出身ということとも関係があるのだろうか。
これからも変にアメリカを意識したようなサウンドに犯されることなく、がんがん進んでいってほしいバンドだ。

![]() | フューチャー・セックス/ラヴ・サウンズ Justin Timberlake (2006/09/20) BMG JAPAN この商品の詳細を見る |
曲目
1 Future Sex/Love Sound
2 Sexy Back (Featuring Timbaland)
3 Sexy Ladies/Let Me Talk To You (Prelude)
4My Love (Featuring T.I.)
5 Love Stoned/Think She Knows (Interlude)
6 Chop Me Up (Featuring Three 6 Mafia)
7 What Goes Around.../...Comes Around (Interlude)
8 amn Girl/Brand New Day (Featuring will.i.am)
9 Summer Love/Set The Mood (Prelude)
10 Until The End Of Time
11 Losing My Way
12 (Another Song) All Over Again
13 Pose (Featuring Snoop Dogg) [Bonus Track]
新しい世代の白人青年が創ったファンキーな音
ジャスティン・ティンバーレイクはイン・シンクという男性アイドルグループに在籍していた人だったから、前作のソロデビューアルバムの発売当初、私はまったく興味がない人だった。
しかし、FMで何度か彼の曲を耳にしたり、グラミーの授賞式のライヴパフォーマンスを観たりするうちに、彼の不思議な曲の数々が妙に耳に残るようになった。
曲がとにかく普通じゃない。
どういうルーツの人なのだろうという感じでひっかかった。
そして結局私は、そのデビューアルバム「Justified」を購入したのだったが、このアルバムがなかなか面白かった。
現在のHip-Hop、ブラックミュージックシーンで活躍するプロデューサー(ティンバランド他)ばかりが起用されていて、音が非常にファンキーでダンサブルで、完全に現代の黒人音楽の音だった。
その音を非常にしなやかなリズム感覚で歌いこなしているところがすごいと思った。
この4年ぶりのセカンド・アルバムも、さらに前作以上に全編ファンキーな音で、しかも一曲一曲がとてもユニークで斬新。
シンセの使い方や音の感触、細かく入れられたサンプリング等、ひとつひとつの音がじつに緻密に組み立てられていて、面白い。
このアルバムを聴いていると、彼のような若い世代の音楽体験、音楽的ルーツというのはもう完全に1980年代のプリンス、マイケル・ジャクソン、マドンナというところにあるのだなあという事が分かる。
その前の世代の70年代の面影などはまったくといっていいほどない。
特に誰が聴いても感じるのはプリンスの影響だろう。
プリンスのサウンドの特徴である、シンプルでセクシーでしなやかでダンサブル、そういった要素がすべて入っていて、しかもそれをジャスティンの若さとパワーとクリエイティヴィティですべて違和感なくクリアしている。
こういう白人男性というのは今までなかなかいそうでいなかった。
白人女性ではクリスティーナ・アギレラのよう完全な黒人ソウル・ディーバのように歌える人や、ネリー・ファータドのようにてティンバランドと組んでいる人もいたのだが。
この2作目というのはジャスティンにとって、デビューアルバムがフロックではなかったということを証明するためのアルバムであったが、結果としてはそれ以上のものを証明してみせた見事なアルバムになったと思う。
がしかし、ほんとうの勝負は次の3作目にあるかもしれない。
この2作目までは、彼のもって生まれたリズム感覚と才能と若さの勢いで創ることができたように思うが、次の3作目というのは、何か変化を見せてゆかないとマンネリになってしまいかねない。
久しぶりに出現した貴重な白人青年の才能だ。
これから先、どんな作品を創っていってくれるのか、ますます楽しみな存在だ。

![]() | 最後の喫煙者 自選ドタバタ傑作集〈1〉 筒井 康隆 (2002/10) 新潮社 この商品の詳細を見る |
ナンセンスに秘められた強烈な現代社会への皮肉
筒井康隆が自分で選んだドタバタ傑作の短篇が9話入っている。
どれも短い話なので、飽きずに読むことができる。
どの話もナンセンスで、グロテスクで、下品で、ばかばかしくて、かなり笑えるが、そこには強烈な社会風刺、現代社会への皮肉が隠されているところはさすが。
「急流」は知らない間に、時の流れがどんどんスピードを増していってしまう話。
加速してゆく時の流れに人々は必死に合わせようとするあげく、次々と事故が起こり、どんどん死者が出て、世の中がメチャクチャな大混乱になってゆく様子がおかしい。
なんでもスピードスピードの世の中をばかにした痛快な話だ。
二人の医師が、患者と間違えて看護婦の腹にメスを入れてしまうグロテスクな話「問題外科」は最近の医療ミスのニュースを予見したような内容だ。
「最後の喫煙者」で描かれている極端に進んだ禁煙社会は、喫煙者にとってはまさに悪夢のような世界だが、今の社会は現実にここへ進んでゆこうとしているのは間違いなく、これは笑ってばかりもいられない話だ。
私はタバコは吸わない人間なので、この話はほんと大笑いしてしまいました。
ほかにも、すごい歳をとってるターザンの話(「老境のターザン」)とか、童貞喪失の前日の男のあわてぶりを描いた「喪失の日」などが私は好きですね。
一人で吹き出すのを我慢するのがつらかった。


昨日テレビで「女子フィギュア」を観ていたら、カナダの選手が、ジミ・ヘンドリックスの「リトル・ウィング」をバックに演技していたので、ちょっと興味を引かれた。
女子フィギュアで(エキシビションではなく)BGMにジミヘンの曲を使っているのを観たのは私はおそらく初めてだったと思う。
「女子フィギュア」と「ジミヘン」というおよそ似つかわない組み合せにもかかわらず、その演技はなかなかの美しさだった。
スーパーモデル並みの美しさに加えて、しなやかで美しい動き、それにジミヘンの渋いブルースが不思議にシンクロして、セクシーでエレガントな独特な雰囲気を漂わせていた。
結局、この選手はショートを終わって3位だったが、スケートの審判員も安藤美姫なんて2位にしてないで、こういう選曲をする選手をもっと上にすればいいのに。
なぁんて、これは、いちロックファンの希望です。
まあ安藤美姫ちゃんも今回失敗しなかったから、まあいいか。
しかし、この「リトル・ウィング」という曲は、じつに不思議な曲だ。
ジミヘンとしては、かなりおとなしい感じの曲なのに、この曲のカバーヴァージョンというのは異常に多くて、数多くのアーティストがこの曲を演奏している。
個性がそんなに強くないようでいて、すごくいいメロディーがあって、ブルースのフィーリングもあって、そこはかとなく淋しくて、こういうどうにでも取れるような懐の深いところがカバーヴァージョンの多い理由なのかもしれない。
「飛べよ、小さな翼…」
ジミヘンはこの歌詞にどんな想いを乗せたのだろう…。
・「リトル・ウィング」他収録CD→エクスペリエンス・ヘンドリックス~ベスト / ジミ・ヘンドリックス

![]() | 驚異 ピンク・フロイド (2006/09/27) Sony Music Direct この商品の詳細を見る |
今だに史上最大スケールのライヴ
1994年に行われたピンク・フロイドのステージの映像。1995年にVHSビデオで発売されたもののヴァージョンアップ版だ。
そのVHS版も私はもちろんその当時すぐに購入し、その映像のあまりの凄さに圧倒されたものであったが、このDVD版を今あらためて観てみても、その時の感動がまた再び蘇ってくる。
今観ても、このライヴは史上最大と思えるもので、今だこのライヴを超えるスケールのライヴは観たことがない。
様々な映像を映し出す円形の大スクリーンと美しいレーザー光線。
ベッド、豚、ミラーボールなどが次々と出てくる大掛かりな仕掛け等、ビジュアル面のあまりの凄さに目を奪われるが、それよりも何よりもとにかく一曲一曲の楽曲がほんとうに素晴らしい。
名曲、名曲の連続で、このステージセットの中でこのサウンドを聴けるというのは、最高の贅沢というものだ。
これ以上、何を求めるのだという感じすらする。
特にスゴいのは、前半最後の、巨大な豚が揺れる「One Of These Days 」。デヴィッド・ギルモアのギターの音がスゴイですねえ、これはほんとに。
「虚空のスキャット」もイイですねえ。ほんとに美しい曲で、もう涙出そうになります。
巨大なミラーボールが出現する「コンファタブリー・ナム」も実に不思議で美しい曲。
とにかくステージ上は、まぶしいほどの光のシャワーという感じで、この物量に圧倒的なサウンド、まさに「驚異」的なライヴだ。

![]() | B'Day(ステッカー4種類ランダム封入初回盤 ) ビヨンセ、ジェイ・Z 他 (2006/09/04) ソニーミュージックエンタテインメント この商品の詳細を見る |
曲目
1デ・ジャ・ヴ feat. Jay Z
2ゲット・ミー・バディード
3シュガ・ママ
4アップグレイド・ユー
5リング・ジ・アラーム
6キティ・キャット
7フリーカム・ドレス
8グリーン・ライト
9イレプレイスブル
10 リゼントメント
11 クレオール (Japan Bonus Track)
12 チェック・オン・イット (Int'l Bonus Track)
13 アンコール・フォー・ザ・ファンズ (Hidden Track)
14 リッスン (Hidden Track)
15 ゲット・ミー・バディード (Extended Mix) (Hidden Track)
パワー全開フルスロットルのヴォーカルアルバム
このアルバムもじつのところ初めは買わないつもりでいた。
というのは、先行シングルの#1がどうもあまりいい曲とは思えなかったからだ。
私はこのブログで時々書いているのだが、歌というものは歌手があんまり頑張って歌っている歌にいい歌はないと思っている。
その点で、この#1のビヨンセはやけにがんばって歌ってしまっている感じがして、どうも好きになれなかったのだ。
しかし、このあいだ「ミュージックフェア」に来日中のビヨンセが出演して歌っているのを観て、やっぱりこの人のヴォーカルはスゴイものだと思ってしまった。
そして、このヴォーカルで歌われた曲がもっとたくさん聴きたいと思えてきて、結局はこのアルバムを買うことになった。
アルバムを通して聴いてみると、それはそれはもうとてつもなく素晴らしいヴォーカル・アルバムで、ここには抑えたヴォーカル表現のようなものはほとんど存在しないといった感じの、全編ビヨンセのパワー全開フルスロットルのヴォーカルアルバムになっている。
音の感触としては、ソロ第一弾の前作「デンジャラスリィ・イン・ラヴ」に比べると本作は意外にも伝統的な黒人音楽の要素が強く感じられるのが特長だ。
前作の都会的で洗練されたヒップホップの音の雰囲気とはやや違って、本作はもっと土着的な音色を持った曲が多い。
例えば象徴的な曲は#3で、ギターの音とリズムはまるでアレサ・フランクリンの曲のよう。
先行シングルの#1にしても、ベースのメロディラインとリズムの粋な音使いは一種懐かしい感じさえするソウルミュージックの音。
最後の曲の#10も、そのホーンの使い方といいバック・ヴォーカルといい、まるでグラディス・ナイトが活躍していた頃のような、こてこての典型的な熱いソウル・バラードが歌われている。
全体的にアレンジがごてごてしていなくて、ラップも少なめでシンプルな曲が多い。
ビヨンセの最大の魅力であるヴォーカルがよく引き立つように作られたアルバムという感じがする。
まるでビートだけで出来ているような曲の#2や#4のヴォーカルなどを聴くと、もうほんとうにスゴいとしかいいようがない。
この人でなければ成り立たない曲だ。
(ボーナストラックを除けば)ソフトな曲は#6と#9くらいのもので、ほかはとにかくパワー、パワーで押しまくった感じの攻撃的なアルバムになっていたのに私は少し驚いた。
アルバム・ジャケットも前作のようなファッショナブルな雰囲気はなく、もっと攻撃的で黒人らしいものになっている。
私はここで、黒人いやアフロアメリカンの伝統の素晴らしさを前面に押し出したようなこういう作品をビヨンセが創ってくるとは少し意外だった。
このアルバムは、つねにファッショナブルな面ばかりが取り上げられることの多かった最近のビヨンセが、「ミュージシャン、アーティストとしての自分」を世の中に強力に知らしめるべく創ったアルバムという感じがする。
彼女の本業、歌に懸ける情熱を世に知らしめたのだ。
このアルバムは前作よりも、通(つう)好み、玄人(くろうと)好み、耳の肥えた人好みのアルバムだ。
ビヨンセのファッショナブルな面だけでファンになった人には、やや渋すぎるとさえ感じるアルバムだと思うのだ。

![]() | 痴人の愛 谷崎 潤一郎 (1947/11) 新潮社 この商品の詳細を見る |
情けない男の「性」(さが)
この物語は30歳目前の会社員、河合譲治がカフェで働く15歳の少女ナオミを引き取って、自分の家で育て始めるところから始まる。
現代では考えられないような、ちょっとあぶない設定の話だが、ひと昔前の結婚というのは、まあこれに近いものだったのだろう。
女はなるべく若いうちに、ちゃんとした仕事をしている男のところへ嫁に行くのがいちばん幸せだと考えられていた時代の話だ。
この話の中で出てくるナオミの親類たちも譲治との結婚にまったく反対する事もなく、逆によかったよかったと喜んでいる様子にもみえる。
これはある意味、男の理想の生活だ。
自分の気に入った14、15の娘を家に引取り、自分の育てたいように育てる。
男というのは、少女がどんどん美しく女らしくなってゆく過程を、自分の家で近くで見てみたいという、ばかな欲望がある。
だが、女も人間だ。みんなお人形さんみたいにおとなしいとも限らない。
そう、この話に出てくるナオミのように。
ナオミは成長するにつれ、どんどんわがままに育ってゆく。
どんどんお金を使うようになり、外で何人もの男と浮気をするようになる。
譲治はずっとナオミの言いなりになっていたが、ついに浮気の証拠をつかみ、ナオミに「出てゆけ!」と怒鳴る。
これまでナオミに好き放題に言われ、他人の前で恥をかかされ、家では馬乗りにされて、ばかにされてきた譲治がようやくナオミに、ばしっと言うべきことを言ったのだ。
しかし、ここからが、読むのもつらくなるほど、情けない。
譲治は、あんなに好き放題、ナオミに浮気をされて、金も使われて、ついに会社も辞めることにもなってしまったというのに、それでも、ナオミがいなくなったことを淋しがるのだ。
なんでもするから、戻ってきてくれ、なんて懇願するのだ。
こんなにも男って、情けなくていいものか、と思ってしまう。
しかし、この譲治の立場に自分が立ってみれば、やっぱりナオミに屈服してしまうような気もしてしまうのが私は悲しい。
こんなばかばかしい話はないと思いながらこの小説を読んでいたが、男というものは、誰でもこの譲治という人物と似たりよったりの感情を持っているというのが悲しい事実だ。
男は一生この感情、欲望から逃れられず苦しむ。
まさに悲しい性(さが)だ。
この小説はそういった男のかっこ悪い部分がもろにさらされて描かれているので、自分はそうではない、と思いたいところなのだが、実際私の目の前に奇跡的に美しい女性が現れたりすれば、やっぱり私も屈服してしまうのだろう。
悲しい。
しかしこの小説、女性が読んだらどう思うのだろうか。
男のほんとうの姿というものが分かって、きっと勉強になるはずだ。

![]() | コンフェッションズ・オン・ア・ダンスフロア~ジャパン・ツアー・スペシャル・エディション(DVD付) マドンナ (2006/08/23) ワーナーミュージック・ジャパン この商品の詳細を見る |
曲目
ディスク1
1ハング・アップ
2ゲット・トゥギャザー
3ソーリー
4フューチャー・ラヴァーズ
5アイ・ラヴ・ニューヨーク
6レット・イット・ウィル・ビー
7フォービドゥン・ラヴ
8ジャンプ
9ハウ・ハイ
10 アイザイック
11 プッシュ
12 ライク・イット・オア・ノット
ディスク2
DVD
1ハング・アップ
2メイキング・オブ・ハング・アップ
3ソーリー
4メイキング・オブ・ソーリー
ダンスビートに見え隠れするスーパースターの心情
このアルバムは全世界でものすごいセールスを記録しているらしい。
マドンナの前作「アメリカン・ライフ」は彼女としてはメッセージ色の強い作品だった。
アメリカン・ドリームの体現者としての自身の心情を正直に現した歌詞が鮮烈だったが、セールス的にはふるわなかった。
一転して、今作は自身曰く「ノー・コンセプト」の作品。
それぞれの曲がノン・ストップでつながってゆくダンス・アルバムで、久しぶりのビッグセールスとなった。
アーティストがある程度苦労して作ったコンセプチュアルな作品はセールスが伸びず、わりあい軽い感じで作ったノー・コンセプトのアルバムはビッグセールスを記録するというのは、昔からポップ・ミュージックの世界ではよくあることだ。
私は、前作のような「いい歌詞」と斬新なアレンジの曲をマドンナに期待していたので、このアルバムの先行シングルの「ハング・アップ」を聴いた時は、正直かなり失望した。
いくら大ヒットしているとはいえ、この「ハング・アップ」はアバの曲をサンプリングしただけで特に斬新でもないし、原曲の方が断然いい。
今度のアルバムは買うのをもうやめようと思っていた。
マドンナは、自分にとっては異性であるが、ある意味、私の価値観、人生観にまで影響を与えたアーティストである。
そんな彼女に質の高い作品を私が期待してしまうのは無理もないところだ。
しかし、実際にアルバム全体を聴いてみると、ダンス・ビートが前面に押し出されてはいるものの、やはりその歌詞には彼女の正直な心情が見え隠れしていて、単なる踊るだけのダンス・ミュージックになっていないところが面白かった。
「ハング・アップ 」
アバのこの曲をリアルタイムで聴いている私にとっては、初め許すことのできない曲だった。原曲のアバの圧倒的なヴォーカルに比較して何とも貧弱なマドンナの声。しかし、70年代終盤から80年代に到る頃のディスコ・ミュージックがこのアルバムのひとつのテーマになっていることを思うと、このサンプリングはこのアルバム全体を象徴しているナンバーと言える。
『ハング・アップ』という言葉の使い方が面白い。この言葉はPCが普及した現代ならではの言葉なのではないか。
すごく新しい響きがあって、それを「I'm hung up for you」として、「私はあなたに夢中になる」という意味にするところが面白い。
「ゲット・トゥギャザー」
全体を覆い尽くす、こもったようなシンセの音が80年代ディスコ風。
「ソーリー」
誰かのことを歌っているのかもしれない。『「ごめんなさい」なんて謝らないで〜』。
「フューチャー・ラヴァーズ」
70年代終わり頃に活躍したジョルジオ・モロダー風のシンセの音とリズムだが、ヴォーカル・アレンジは複雑になっている。
「アイ・ラヴ・ニューヨーク」
ニューヨークへの愛を歌う。自分の愛する街から消えてほしい奴って、いる、いる。
「レット・イット・ウィル・ビー」
前作を思わせる、マドンナの心情吐露ソング。
「長くは続かない」とか「明かりはすべて、そのうち消える」とか「燃えてゆく私を見て」という言葉が重いが、音はカイリー・ミノーグ風に軽い。
「フォービドゥン・ラヴ」
こちらもカイリー風に軽いサウンドだが、ただ軽いだけというわけでもないのはマドンナの声のせいか。
「ジャンプ」
常に努力と根性で頑張ってきたマドンナらしい力強い曲。
「ハウ・ハイ」
これも前作に近い詩の世界。アメリカン・ドリームを実現しスーパースターになってしまったマドンナの孤独感と疲弊感のようなものが歌われている。
「アイザック」
最近のマドンナが心酔するカバラの詩が、商業的なポップソングに使用されていることで大批判を浴びた曲。このあたりの無神経さは相変わらずだ。
「 プッシュ」
重いリズムで、このアルバムではやや異色な曲。「Like a Prayer」を思わせるパーカッションの使い方がいい。
「ライク・イット・オア・ノット」
「あなたに好かれても嫌われても構わない〜」。一人立ち続ける「強い女」であり続けるマドンナの孤独感が伝わってくる曲。

テーマ:本日のCD・レコード - ジャンル:音楽









