乱聴
今日こんなものを聴いた。
「ザ・グレイト・アメリカン・ソング・ブックVOL.3」ロッド・スチュワート
ロッド・スチュワートは、以前にジェフ・ベックやロン・ウッドらと共にフェイセスというロックバンドに在籍していて、その後ソロアーティストとなった。

フェイセスというバンドは典型的なUKロックバンドで、ロック好きにはたまらないダイナミックなサウンドで若者に絶大な人気があった。

そのために、ロッドがソロになってから「マギー・メイ」や「セイリング」のようなバラードを歌うようになると、そういった真性ロックファンたちは、一斉にロッドを批判するようになった。

だが、よく考えてみればフェイセスというバンドは、とりたてて大きなセールスを挙げたわけでもないし、そんなに長く活動していたわけでもない。

ロッドはソロになって初めてスーパースターになりえたわけなのだから、その音楽性は時代を捉えていたのであって、決して非難されるようなものではないのだ。

とかくロックファンというのは、こういうところがあって、自分たちがいちばん進んだ音楽を聴いているようなつもりになっているうちに、時は流れ、アーティストの方が新しい方向性へ行くと、ついていけないで文句や批判ばかり言う。
いつのまにか自分たちが時代遅れになっていることに気付いていない。


ソロになってからのロッド・スチュワートは、とかく比較されることの多いローリング・ストーンズのミック・ジャガーと比べれば、よりバラエティに富んだ音楽をやってきたヴォーカリストだと言えよう。

決して、その色々なタイプの音楽がいつも成功してきたわけでもなく、明らかに「これははずしたなぁ」なんていう作品もあって、セールスが落ち込んだ時期もあった。
ただ、そのつどしぶとく音楽性を変化させて生き残ってきたのがこの人だ。

今回のこのスタンダード集も、すぐ前作のアルバム「ヒューマン」があまりに売れなかったための苦しまぎれの策に違いないと私は最初に思った。

しかし、これがアメリカで大ウケした。
私は初めは、こういうものはぜんぜん聴く気がなかったが、あまりに大ヒットしているので、このシリーズの「VOL.2」を買ってみた。

家でヘッドフォンで聴くと、これが最高にゴージャスなサウンドで、酔える。
それはそうだ。名曲ばかりなのだから。
今、聴いている、この「VOL.3」も同じだ。
「スターダスト」や「スワンダフル」など、まず曲自体が良い。

それにしても、ロッドの歌のうまさがなければ、こんなに贅沢な気分にはなれないというものだ。
この歌い回しはやっぱり凄いとしか言いようがない。
どんな曲でも、それらしく粋に歌いこなしてしまうのだから。

そうやって、スタンダードでも器用に歌ってしまえるロック・ヴォーカリストというのが、かっこいいのか、かっこ悪いのかは意見が分かれるところだが、出来上がった作品の質の高いことには間違いがなくて、それはそれで評価しないといけない。

ただ、「VOL.2」を買ったし、今、レンタルで聴いているこの「VOL.3」もほんとに素晴らしいのだけれども、次の最終作の「VOL.4」までの4枚を全部揃える気には、ちょっとなれないのが正直なところだ。

せいぜい2枚くらいがいいところで、4枚も創ってしまうなんて、ちょっとロッドは儲け過ぎというものだ。

それに、ロックをやっていたアーティストが、アートとして4枚も同じような作品を創るという行為自体が、もうロックのスタイルではない。

そういうところは昔からロッドにはないとも言えなかったが、ここまで露骨に金もうけが見えてしまうと、ちょっと残念な気もするのだ。

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「Chapter 2」アシャンティ
アシャンティは2002年に発売されたデビューアルバムの「アシャンティ」以来、とにかく出す曲出す曲大ヒットの黒人女性シンガー。

じつは私は、この人、ある時期のアメリカのヒットチャートのベスト10に3曲か4曲送り込ほど異常なほど売れていたのを知ってはいたが、どうしてそんなに人気があるのか、どうもぴんとこないでいた。

その印象が一変したのが、3枚目のアルバム「コンクリートローズ」でプロモーション来日したアシャンティが歌番組(たしか「ミュージックフェア」)に出演した時だった。

曲も凄かった(「オンリーU」)が、アシャンティというシンガーそのものの魅力が、予想以上にすごかった。
それまで彼女に対して思っていたクールなイメージとはだいぶ違い、非常にホットで肉感的な魅力溢れるシンガーであったのだ。

というわけで私は、それからはいっぺんにアシャンティのファンになり、すぐに3rdアルバム「コンクリートローズ」を買って聴いて、次にデビューアルバム「アシャンティ」を聴き、ようやくこのセカンド・アルバム「Chapter 2」にたどりついた。

アシャンティは、新しいタイプの黒人女性シンガーという気がする。
歌えば、すごくよく延びる素晴らしい声なのだが、あんまり歌い過ぎない。
全体的にはクールで、とろーっとしたムーディーな楽曲が多く、さらっと歌っているところがいい。

このアルバムもそうした彼女の魅力が発揮されていて、彼女ならではのすごくいい曲もあるが、残念なのは、ちょっと無駄な曲やスキットなどが多すぎる点。
全部で22曲も入っているが、これを仮に厳選して10曲にしたとしたら、かなり凄いアルバムが出来上がったと思う。
CDが75分入るからといって、目一杯入れなければならないことはない。

ただ、ひとつひとつの曲の音のクォリティはほんとうに高くて、この音の磨きぬかれた感じというのがすごい。

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「ROCK AND ROLL HERO」桑田佳佑
桑田佳佑は、戦後の日本の音楽シーン全体を代表するほどの天才であることはもはや間違いなく、これほどの才能を持ったアーティストは、かつて日本にはいなかったと言ってもいいくらいだと思っている。

そういう恵まれた才能の持ち主である彼が創ったこのソロ・アルバムというものは、彼の今までに創り出してきた膨大な数のサザン・オールスターズというバンドの中での楽曲と比較して、やや違うベクトルに向いていることは確かで、その方向性というものに対して、私はどうとらえたらいいのか迷っている。

サザン・オールスターズの曲は、私自身もちろん非常に好きな曲もあったが、今までの私にとって彼らの世界観にそれほどフィットしてきたとは言いがたく、それゆえ彼らの曲やアルバムというものをすべて聴いてきたわけではない。

だがサザンの音は、このソロアルバムほどあからさまに洋楽を意識したものではなかったはずだ。

このアルバムは単にタイトルの示す通り、アメリカのロックンロールのヒーロー達に対するオマージュのみで出来た企画盤として考えるべきものなのだろうか。

私のように年がら年中洋楽ばかり聴いているような人がこのアルバムを聴いたら、この曲はニルヴァーナ風で、この曲はレニクラ風で、この曲はジミヘン風で、なんてすべて分かってしまうはずだ。

そのことが悪いとは決して思わない。
こういう傾向のアルバムというのは、ほかにもたくさんのアーティストがやっているし、その中には傑作と呼ばれるものも少なくない。

ただ、あれほどの才能に恵まれた桑田佳佑というアーティストが、「こういうもの」ばかりを何度もはやってほしくないという気はするのだ。

このアルバムは、ふだん洋楽をよく聴く人がわざわざお金を出して聴く必要はないアルバムで、それよりは、ふだんまったく洋楽と無縁の人がぜひ聴くべきアルバムだ。

私としては、そうやって、このアルバムを聴いた人たちは、その後、本物の洋楽をぜひ聴いていってほしいと思うのだ。


しかし、このアルバムの中の「東京」という曲だけは、何かロックンロールヒーローとは異質の感じがするのはなぜだろう。
まるで昭和の時代の歌謡曲のようで、まったく今の時代を無視したような大胆な構成の曲だ。
初めてこの曲を聴いた時は、心底、桑田佳佑スゴイなあ、と思った。

テーマ:音楽のある生活 - ジャンル:音楽

「エッセンシャル」ダリル・ホール&ジョン・オーツ
ホール&オーツはいわゆるブルーアイドソウルと呼ばれる「白人によるR&B」のデュオだ。

彼らを私が初めて知ったのは「ウェイト・フォー・ミー」という曲で、まだその頃は、それほどスゴいデュオという感じではなくて、アメリカの若い中堅のグループといった印象だった。
が、その後の80年代、彼らは驚くべき大躍進を遂げる。

81年からは、出す曲、出す曲、全米ナンバーワンヒットとなり、一気にアメリカを代表するスーパーデュオとなってしまったのだ。
彼らの曲は、どの曲も非常に個性的で、独特の雰囲気があった。

私は当初、多くの大ヒット曲でヴォーカルをとっていたダリル・ホールのキンキンとした機械的な声があまり好きになれなかった。
しかし、この声でどんな曲でも豪快に歌いこなしてしまう、その勢いというものに遂に負けた。
ひどい声のようにも思えたが、それよりも何よりも、曲がとにかくみんな良かった。

彼らの曲のリズムの気持ち良さといったらなくて、もう繰り返し聴かずにはいられなくなるような独特の快感がある。

ギターが泣くような白人ロックでもないし、あの声色だからソウルというほど黒い雰囲気もない。
たしかに初期の彼らはR&Bのテイストもあったが、80年代に彼らの創り上げていった名曲の山は、そういったカテゴリーにはめ込むことさえ不可能なくらいユニークで突飛な音楽だったといってもいい。

まさに、彼らの音楽を称してよく言われる「モダンポップ」とでも言ったらいいのだろうか。
不可思議な音世界を彼らは創造していた。

このアルバムはそんな彼らの名曲の数々が37曲も入っていて、もうお腹いっぱいの大満足ができる豪華盤だ。

テーマ:洋楽 - ジャンル:音楽

「ベリー・ベスト・オブ・アレサ・フランクリンVOL.1」
アレサ・フランクリンの曲は、このアルバムに収録されている1960年代のものが圧倒的に素晴らしい。

1970年代の前半もしばらくアレサの黄金時代は続いたものの、70年代後半に起こったディスコ・ミュージックという新しい大波の中に、アレサ・フランクリン、ジェームズ・ブラウンといった60年代ソウルの大御所たちは飲み込まれてしまい、一気に時代に取り残されてしまった形となった。

そんな彼らを救ったのは、意外にも60年代ソウル好きのお笑い白人組「ブルースブラザーズ」だった。
彼らの作った「ブルースブラザーズ」という映画で、私もアレサ・フランクリンという凄い女性シンガーを知った。

そして、このアルバムにはそのアレサのいちばん凄かった時代の見事なヴォーカルがたくさん収録されている。
とにかく、この頃のアレサの声はスゴイ。
すべてを吹き飛ばしてしまうような、どこまでも伸びるような声、声、声。

たしかに1980年代にアトランティックからアリスタに移籍した後も、再びヒットを連発するようになり復活をしてきたものの、この60年代のアレサの「声」は、もう無い。

この聴くものの魂を揺り動かすようなスゴイ「声」を聴いてほしい。

テーマ:音楽のある生活 - ジャンル:音楽

「THE BEST OF SWINGOUT SISTER」
1980年代の後半、イギリスのマンチェスターから登場したスウィングアウトシスターは、その独特な「おしゃれサウンド」で、本国イギリスを始め、アメリカや日本でも世界的なヒットを記録したデュオだ。

デビュー当時は、男2人女1人の3人組だったが、途中でパーカッションのマーティン・ジャクソンが脱退。
現在は、ヴォーカルのコリーン・ドリューリーとキーボードのアンディー・コーネルのデュオになっている。

彼らの特長は、元ファッションモデルのコリーンの爽やかなヴォーカルと、しゃれたジャジーな雰囲気のサウンドにある。

私は、彼らの曲の中では、やはり何といっても「ブレイクアウト」が好きで、この曲に尽きると思う。
この曲は、彼らのキャリアの中で最初で最大のヒット曲で、アメリカでもポップチャートの6位まで上がった曲だ。
明るくて、コリーンのヴォーカルがキュートで、ホーンの音が効いてて、これぞポップスといった名曲です。

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「Greatest Hits:Sound&Vision」ブロンディ
学生の頃、デボラ・ハリーに一目惚れだった。

先日、買いたいCDがあって、渋谷のタワーレコードに行った。
ROCK&POPSのコーナーにデボラ・ハリーの映像が流れていた。

私は一瞬、学生の頃に戻った。

一目惚れした女(ひと)が映っていたのだ。
私は予定を変更し、すぐにこのDVDをレジに持っていった。


このアルバムは、デボラ・ハリー率いるブロンディのヒット曲の入ったCDとその映像を収めたDVDの2枚組。
目玉は何といっても貴重なブロンディのPVが多数収録されているDVDだ。
今までライヴ映像のDVDは出ていたが、PVを収めたものは発売されていなかった。
だから今見ると、ずいぶんと「お久しぶり」という感じがして、なつかしい。

しかし、今こうやってあらためて観てみても、このデボラ・ハリーという人は魅力的な女性だ。
私の中では、今だに彼女を超えるセクシーな女性シンガーは出てきていない。

あのくしゃくしゃにした金髪と真っ赤なくちびる。
けだるい雰囲気で歌う彼女の姿は、学生時代の私の心をかき乱したのだった。

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「リトル・ウィリーズ」
ノラ・ジョーンズがソロ活動とは別に新しく結成したバンドのファーストアルバム。
ウィリーズのウィリーとは、カントリーシンガーのウィリー・ネルソンからとったもので、
始めはウィリー・ネルソンのカバーばかりをやろうと言っていたのだが、だんだん他のアーティストの曲もやるようになり、そのうち自作の曲もやるようになったそうだ。

そのため、このバンドの基本はカントリー・ミュージックにあり、ノラのソロアルバムのややジャズっぽい雰囲気とは少しアプローチが違っている。

とはいえ、ノラのアルバムもそうであったが、このリトル・ウィリーズのアルバムもカントリー一辺倒というよりは、古くから続くアメリカンミュージックのいろいろなスタイルの曲を好き勝手にやっているといった印象だ。

例えば、ブルースの曲があって、プレスリーの曲もある。デキシー風の曲もあれば、ブルーグラスっぽい曲も。
私が聴いた感じでは、最近のボブ・ディランのような雰囲気でもあり、初期のイーグルスのようでもある。
このへんの音楽というのは、いちばんアメリカの匂いがする。

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「best of bowie」デヴィッド・ボウイ
デヴィッド・ボウイという人は、自分にとっては、ずいぶん長い間、理解しようと思ってもなかなか理解ができないアーティストだった。
とにかくローリング・ストーンズやビートルズと肩を並べるほどのビッグネームとは聞いていたが、私が洋楽を聴き始めた1978年頃からずいぶん長い間、このアーティストの良さが分からないできてしまった。

1983年に大ヒットを記録した「レッツ・ダンス」でなんとなく少し分かった気もしたが、この曲だけでは、そんなにスゴイ人だとは、まだ感じることはできなかった。

しかし、初めて彼のヒット曲を集めた「THE SINGLE COLLECTION」(2枚組)やこのアルバム「best of bowie」のようなヒット曲集を聴いた時に、私はようやくボウイのスゴさに目覚めた。

ボウイはかなり色々なタイプの曲を書く作家で、とてもヒットチャートには乗りそうにないような曲も多い。
だから、こういった聴きやすいヒット曲ばかりを集めたアルバムを聴くというのも、彼の音楽を理解するには正しい選択なのかもしれない。

このアルバムの曲はどれも非常にバラエティに富んでいて、個性的で面白い。
70年代という時代にこれだけ刺激的で独創的な曲を歌っていたというところがボウイのすごいところだ。
つまり、よく聞く表現だが、デヴィッド・ボウイの音楽というのはやっぱり時代の一歩先をいっていたのだ。

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「ベスト・ヒット・アルバム」ピンク・レディー
ビリー・ホリデイの次がピンク・レディーってことないだろう、って言われてもしょうがない。
自分にとって、音楽は「いいもの」と「悪いもの」しかないから。

ピンク・レディーは、驚異的なセールスを記録した女性2人組のデュオ。
阿久悠/都倉俊一のコンビが作り出す歌もユニークだったが、なんといっても、このデュオの特徴は、歌いながら激しいダンスを踊るところにあった。
当時のアイドルグループというのは、キャンディーズに代表されるように、歌を歌う時たいてい振り付けが付いているものだった。
が、ピンク・レディーの振り付けは、それまでのアイドルグループのそれとはまったく異質のものだった。
それまでのアイドルのやってた手をひらひらさせるようなやさしい振り付けとはまったく違った激しい動きで観る者をとりこにした。

ただ、こうやってCDで彼女たちを今あらためて聴いてみると、歌の方も他のアイドルとは異質な雰囲気を持っていたということが分かる。

それまでの日本のアイドルにはいなかったようなパンチのある歌い方だ。
だいたいそれまでのアイドル歌手というのは、男に甘えるような歌い方・雰囲気のものが多かった。
しかし、ピンク・レディーの歌は、ぜんぜん違っている。
激しくて、強い歌い方で、「強い女」のイメージを打ち出した。
こういう迫力のあるヴォーカルは、当時ほとんどいなかったのではないだろうか。

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「BILLIE HOLIDAY ANTHOLOGY 1944-1959」ビリー・ホリデイ
ふだんジャズを聴くことはほとんどない自分が、ビリー・ホリデイだけは聴いてしまう。

ビリー・ホリデイの声が好きだ。
彼女の声は、せつなくて、悲しくて、優しさに満ちている。
なんてステキな声なんだろう。

当然、かなりの昔の録音なので、音質はあまりよくない。
しかし、そういったことが問題にならない。
いやそれどころか、こういう音が必然に思える。

クライスラー(ヴァイオリン)の自作自演の録音が時代を超えているのと同様、ビリー・ホリデイの声は時代を超え、ジャンルを超え、国境を超えている。

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