乱聴
今日こんなものを聴いた。
アズ・アイ・アム/アリシア・キーズ
アズ・アイ・アムアズ・アイ・アム
(2007/11/21)
アリシア・キーズ

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「古くて新しい」アリシアの才能溢れる作品

デビューしてオリジナルアルバムとしては3枚目となるが、私はこの人の歌、声が最初の頃からすごく気に入っていて、3枚のアルバムすべてを即購入している。

彼女のスタイルは一聴して、現代の音楽シーン、R&Bシーンとはずいぶん離れたものに聴こえる。
しかし、そういったスタイルを押し通したデビューアルバムはいきなりの大ヒットを記録。
それ以来、R&Bシーンは、特に女性アーティストを中心に、レトロな雰囲気を持ったサウンドが一気に浸透してきたのが分かる。

新人のジョシュ・ストーンがオーティス・レディングやジャニス・ジョプリンを彷佛とさせる歌声でビッグセールスを記録したり、クリスティーナ・アギレラが全編1930年代頃のサウンドでアルバムを創ったりして好評を得た。

また、去年出てきたエイミー・ワインハウスの音も、聴いてびっくりするほどのカビくさいオールドサウンドだが、これがまた不思議なくらいアメリカで大ヒットしていて、今度のグラミー賞でもたくさんのノミネートを獲得している。

この現象は、単に歴史は繰り返すということ以上に現代の人々が最近の音楽に物足りなさを感じているということの証明だ。

この30年の間にシンセサイザーを中心に楽器などの音響機材の進歩はすっかり頭打ちになった感がある。
もうシンセがどんな新しい音を出してもたいして驚くことも無くなった。
そして結局、人間の声へと戻ってきたのかもしれない。

アリシアの今度のアルバムもアメリカで「超」が付くくらいのものすごいヒットになっているのだが、アルバムを聴いてみると、意外なくらい地味な内容で、まるで大ヒットアルバムの雰囲気がしない。
しかし、ほんとうに一曲一曲がていねいに創られ、ていねいに歌われているという感じが伝わってくる誠実な魅力に溢れている。

どの曲もアリシアが魂を込め情熱を込め歌っている感じがびんびんと伝わってきて、聴く者を熱くする。
この感じというのはやっぱり80〜00年代には忘れ去られてしまったものなのだと思う。

そして、その熱い声を引き立てるバックのサウンドも良くて、昔聴いたレトロな電子楽器が多く使用されている。
こういう音を現代の最新のアルバムで聴けるのが私などはうれしくなってくるのだが、久しぶりにこういった音を聴くと、やはりこういう少し前の時代の電子楽器というのは現在のシンセの音に比べるとシャープさが足りなくて、少し輪郭がぼやけた音なのだが、そのへんが不思議といい味になっているということに気付くのだ。

このサウンドをアリシアは「フューチャリスティック・レトロ」、古くて新しい音と呼んでいるのだが、こういった古い楽器をうまく使うあたりがこの人の非凡なところだ。

前のアルバムでプリンスの曲をカバーしていたが、このアルバムでは「パープルレイン」にインスパイアされたと思われる曲もあって、彼女のプリンス・フリークぶりがよく分かるのも興味深い。

すごい才能、クリエイティヴィティなのだが、そんなにすごい事をやってるように思わせないくらいさりげなく、シンプルで、さらっとしていて、小細工がなくて、つねに曲の中心には彼女の情熱あふれる声がどーんとあるところがすごい。

本物の「うた」の魅力にあふれていて、聴きごたえ充分の作品です。

・アリシア・キーズのアルバム(HMV)
・アリシア・キーズ特集(HMV)

テーマ:女性アーティスト - ジャンル:音楽