乱聴
今日こんなものを聴いた。
Planet Earth /プリンス
プラネット・アース プラネット・アース
プリンス (2007/07/25)
SMJ(SME)(M)
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曲目
1Planet Earth
2Guitar
3Somewhere Here On Earth
4The One U Wanna C
5Future Baby Mama
6Mr. Goodnight
7All The Midnights In The World
8Chelsea Rodgers
9Lion Of Judah
10 Resolution

ストレートなメッセージを表現しつつコンパクトにまとめた傑作

プリンスのアルバムというのはスティーヴィー・ワンダーのそれと同様にもうすでに新作が出るたびに、今度のアルバムは出来がいいとか悪いとかといった次元で話すべきものではない。
アルバムごとに今度はどういったアプローチで望んできたかという点を論ずるべきだろう。
プリンスの音楽性は通常のミュージシャンと比較して驚くほど幅が広いので、サウンドスタイルひとつとってもアルバムごとに曲ごとに、ファンク寄りになったり白人ロック寄りになったり、R&B寄りになったりジャズ寄りになったりする。
その上、曲のテーマも男女の性愛を扱ったきわどいものから人類愛をテーマにした荘大なものまであらゆる内容のものがある。

あまりに器用貧乏になってしまって、アルバム全体で聴くとパワーが分散されて薄まってしまう場合も多々ある。
このアルバムもプリンスは曲ごとに様々な音楽スタイルを見せながらあっという間に最後まで聴かせてしまい、アルバム2枚組にしてほしいくらいのボリュームを感じる。
しかし今回はあえてそれをせず、LPレコード時代並みのアルバム1枚45分というコンパクトなサイズにぎっしりと内容の濃い曲を収めたという感じがする。

#1 アルバムのテーマ曲を堂々と一曲目にもってくるあたり、この作品に対する気合いが伝わってくる。現在の地球環境の危うさに対するプリンスなりの意志を訴えたメッセージソングで、終盤にかけて炸裂するギターがすごい。

#2 ファーストシングル。プリンスの今までの歌の中に出てくる「ギター」というのは、ほとんどの場合が「男性器」の隠喩であったが、この曲の場合は、無理にそう考えるよりは単純に音楽の象徴としての楽器ギターと考えるのが自然だろう。プリンスの音楽に対する何ものにも替えがたい愛情を表現した曲。文字どおり全編にギターの音が心地よく響く最高のギターソング。

#3 プリンス流ジャズソング。近年ますます彼のジャジーな曲には味わいが出てきた。プリンスはフルートの音が好きなようで、よくフルートの音が出てくるが、この曲でもフルートの音色がトランペットと共に効果的。

#4 この曲はどちらかというと白人ロックに近い、からっとした明るさを持った曲。「サイン・オブ・ザ・タイムス」あたりのサウンドをさらに進化させたようなポップなナンバー。

#5 プリンスの開発したと言えるような、おなじみな雰囲気のスローファンク。ファルセットヴォイスと乾いた響きのリズムがセクシー。

#6 #5に続き、ややテンポが速まったスローファンク。「僕のことをミスター・グッドナイトと呼んで・・」

#7 明るいピアノの音色と軽快なメロディーがチャーミングな小曲。

#8 高速のファンクナンバー。ホーンの音、ギターの音、それにからみつくサックスの音、すべてが粋でしゃれてて、かっこいい。誰もがダンスせずにはいられない最高の曲。

#9 この曲も#4のようにあまり黒っぽい雰囲気のないプリンス独特の曲。

#10 ラストの曲は夜明けのような気持ち良さを感じさせる軽快なナンバーだが、歌っている歌詞の内容はじつにストレートな反戦メッセージ。Resolution=「解決」という題名のメッセージソングだ。


テーマ:洋楽 - ジャンル:音楽

プリンスがUKでニューアルバムを無料配布!



プリンスがUKでニューアルバムを無料配布! Sony/BMGは正規発売を中止に。

プリンスは音楽シーンにおいて様々な革命(Revolution)を起こしてきたアーティストだ。
デビュー時、すべてのプロデュースを自分一人にまかせてくれる事を条件にワーナーとの契約を勝ち取り、デビュー以降、次々と革命的な作品を発表した。

「パープルレイン」という今までにまったくないタイプの映画を創り、人々をあっと言わせ、それまでの黒人アーティストのイメージを一変させてしまった。

その当時まで、プリンスのような音楽をやる黒人アーティストはいなかったし、プリンスのようにやれる白人もいなかった。
プリンスの存在そのものが革命となった。

そうして、純粋な音楽的革命をもはや達成してしまった彼にとっての次の革命は、古くさい音楽業界を相手にしたものであった。

まず、プリンスはいきなり「プリンス」という名を捨て、発音不明の記号を名前の表記とし、ワーナーとの契約をほぼ一方的に打ち切った。
大手のレコード会社ワーナーをぽい捨てにしたのだ。

そして次にプリンスは、それまでの業界の常識であった、曲の著作権収入の分配率の変革に挑戦してゆく。

それまでの曲の著作権収入というのは、一曲の全体の収入の大部分(たしか8割もの割合!)がレコード会社に支払われており、作曲者への収入は全体収入のわずか10%以下(たしか4%くらい!)というのが常識であった。

そういった音楽業界の、永年染み付いていた慣例に対し、プリンスは、自らのことをレコード会社の「奴隷」(SLAVE)と呼び、頬にSLAVEという文字を書いて、敵意を表明するようになる。

その後、プリンスは名前を元の「プリンス」に戻し、自らのレコードレーベルNPG RECORDSを立ち上げる。

そして、アルバムを一枚制作するごとに、作曲者である自分に対する著作権分配率を(たしか)約60%程度に設定することを了承するレコード会社のみとアルバム1枚ごとに契約するという画期的、革命的な契約方法をとり始める。

プリンスは名前をプリンスに戻してからは、自分のHPで無料で新曲を配信したり、格安の値段でコンサートを開いたりと、フレキシブルな音楽活動をしてきたが、今回の、この新聞のオマケに新作アルバムを付けるというのも、なかなか斬新なアイディアだ。

曲を創った本人が好きな形でその作品を販売してもいいじゃないか、というのがプリンスの発想だろう。
曲で金を稼ぐ権利があるのはアーティストなのだから、アルバムを2000円にしようが、新聞代だけの350円にしようが勝手であって、レコード会社の知ったことではない。

考えてみれば、これは当たり前のことなのだ。
プリンスは「レコード会社の投機的なビジネスに、付き合う必要はない。」
とコメントしているが、これは自分の曲を売る手段として、何も レコード会社のみを使わなければならないことはない、ということだ。

アーティストはレコード会社の奴隷ではないのだ。

レコード店は「彼の作品をサポートしてきたショップに対する侮辱」「狂ってる」などといった事をコメントしているが、このコメントひとつとっても、いかにレコード店、レコード会社がアーティストに対して、上からの目線で、おごりたかぶっているかということがわかる。

彼の作品をサポートしてきた?当たり前のことだろう。店なんだから。
狂ってる?金儲けに狂いまくってるのはお前たちだろう。

だいたいレコード店なんてものは、良質な作品、ソフトの存在が無ければ存在しえないものなのだ、という自覚が、今のレコード店には薄い。

今の腐った音楽ビジネス業界というのは、レコード店、レコード会社が、俺らが売ってやってるんだ、というおごった態度でいることに問題があると言える。

ただ金儲けのみに奔走し、ほんとうに良質な音楽をリスナーに届けようという姿勢が無くなってしまったから、ほんとうに今の時代というのは、時代を超えるような名曲が生まれなくなってしまい、音楽業界全体が不振に陥っている。

Sony/BMGグループはイギリスではプリンスの新作の販売を中止することにしたようだが、そういうことをしていれば、結果的に自らの首を絞めることになるということに彼らは気付いていない。

i Tunesがなぜあれほど人気があるのかというと、レコード会社が上乗せしたよけいな宣伝費などの金額の分が安くなっているという点が大きいのだ。
i Tunesでこれだけ安い金額でかつての名盤が手に入るということは、今までどれだけレコード会社がよけいな金額をくっつけ、儲けていたかということの証明だ。

プリンスのこの音楽業界に対する一大革命によって、音楽業界はますますこれから大変化を遂げてゆくに違いない。

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