
スティーリー・ダンのアルバムはどれもほんとうによく出来ていて、何度聴いても面白く、飽きなくて、私は好きだった。
1stアルバム「キャント・バイ・ア・スリル」から「エイジャ」まですべてのアルバムを揃え、今でもよく聴いている。
ただ最近、復活してからの2枚(「Two Against Nature」と「Everything Must Go」)は、まったくつまらなく、買う気が起こらなかった。
また、ドナルド・フェイゲンもソロの最初のアルバム「Nightfly」はこれ以上ないくらいの完璧な内容だったものの、次の「Kamakiried」がだいぶ内容的に劣る感じが私はしていて、アルバムも下取りに売り払ってしまうほど失望したのだった。
最近の彼のアルバムは、アレンジ編曲の面では相変わらず素晴らしいものを維持してはいるものの、かつてのスティーリーダンにあったような、曲としていちばん肝心なメロディーの面に、どうも冴えが無くなった。
思わず口ずさんでしまうようなキャッチーな曲が無くなったのだ。
そういうわけで、私はもう最近のドナルド・フェイゲン、スティーリーダンに期待することもなくなっていた。
だが、このアルバムはCDショップで試聴してみたらわりあいよく聴こえたし、FMで聴いた時もなかなか良く聴こえたので、もう何十年になるかもしれないが、彼のアルバムを購入することにしたのだ。
久しぶりに聴いたドナルド・フェイゲンの曲は、相変わらずさすがの職人芸のアレンジで、やっぱりこの音の世界は凄いと思わせるものがあった。
が、しかし、このアルバムもまた、肝心の曲そのもの、つまりメロディーの面では、やっぱり往年の冴えが少し無かったように思った。
「Kamakiried」に比べれば、3曲くらい凄くいいメロディーの曲もあるし、全体的にも落ち着いたトーンで、いい雰囲気ではあるが…。
昔がもっとダントツに凄かっただけに、今回のアルバムも、彼のかつてのアルバムと比較すれば、もうひとつという感じが残った。
ただし、最近出ている他のミュージシャンの新譜に比べれば、まったく別世界のクォリティの高さを維持していることは間違いない。

