![]() | モダン・タイムズ(初回生産限定盤)(DVD付) ボブ・ディラン (2006/08/30) ソニーミュージックエンタテインメント この商品の詳細を見る |
曲目
1Thunder On The Mountain
2Spirit On The Water
3Rollin' And Tumblin'
4When The Deal Goes Down
5Someday Baby
6Workingman's Blues
7Beyond The Horizon
8Nettie Moore
9Levee's Gonna Break
10 Ain't Talkin'
驚くほどの「新しさ」
ここ2作ほどで、いく度目かの黄金時代を迎えている感のあるディランだが、本作品もまた期待を裏切ることのない素晴らしい内容のものとなった。
それを証拠づけるように、このアルバムはビルボードに1位で初登場。全世界で絶賛を受けている。
近年のディランは、無理に新しいスタイルに手を出すことを避け、アメリカの過去のポップ・ミュージック(もちろんディラン自身の歌も含まれる)の遺産の良いところだけをうまく取り入れ、そしてそれを自分の音楽世界の中で消化し再生産する、といった作業に入ってきたともとれる。
しかしながら、そのことは決して進化を止めてしまったこととは異なる。
それは、ここ最近の作品を聴いてみると感じる、驚くほどの「新しさ」や「新鮮さ」にある。
このアルバムでもチャック・ベリー風のロックン・ロールに始まり、マディ・ウォーターズ風のシカゴ・ソウル、古き良き時代のアメリカン・ポップスやワルツ、ハワイアンといった、いつの時代でも愛される音楽をやっていながらも、どの曲も独特のディラン流にアレンジし、ひとくせもふたくせもある音楽にしているところがすごい。
それが出来るのも、深みのあるユニークな歌詞と枯れた味わいを増した歌唱と演奏があってのことだ。
ディランの歌詞は文字数が多く読むのがたいへんだが、いつも、ところどころにくすりと笑わせてくれるようなユーモアがあるところが好きだ。
本作でも、#1でいきなりアリシア・キースが出てきたり、#9で「猫の服を着ろよ、ママ…」なんて歌詞が出てきたりして相変わらずだが、ただ全体的にはこのアルバム、静かな終末感とか、平穏な悟りのような雰囲気が覆っていて、いろいろと考えさせる。
ディランの詩というのは作りが巧みでリズムがあるので、思わず引き込まれてしまう。
ディランのヴォーカルはどんどん声が出なくなり枯れてきてはいる。
本作でのヴォーカルもさらに枯れた感じになってはきているが、なぜか彼の歌にはこの声がいちばん合っている。
決してパワーが落ちていることはなく、逆に凄みがどんどん増してきている。
最近のディランは「良い音楽」、聴いて「良い音楽」と人が感じる音楽だけを創ることに重きを置いている。
昔から長い間、人々に歌い継がれてきている音楽こそが「良い音楽」であることは明白なのだ。
そういう音楽を選び、新しい形で私たちに見せて聴かせてくれる最近のディランの音楽というのは、やっぱりスゴイ。



