
誠実な人柄を感じさせるハートウォーミングで楽しいステージ
去年2006年、日本とアメリカの両方で同じくらいの盛り上がりを見せたダニエル・パウター。
最近は、アメリカではものすごく盛り上がっても、日本ではぜんぜん盛り上がらない、といったアーティストが多くなっていたので、この日米同時の大ヒット現象というのは、とてもすごいことだと思う。
なぜ、彼の歌は日本でもアメリカでもウケたかというと、最近あまり聴かれなくなった「優しいメロディー」と「詩心」があるからだと思う。
この優しいメロディーと詩心というのは世界共通のものだから、どの国の人が聴いても、彼の歌は受け入れられる。
久しぶりの感性豊かなピアノマンの登場だっだたけに、こういうアーティストを待っていた多くの良心的な音楽ファンは飛びついたのだ。
ヒップホップやデジタルロックの刺激的な音に疲れた耳に、ダニエル・パウターの優しい歌声は新鮮に響いた。
そんなダニエル・パウターの日本公演の映像を観た。
ステージ中央に特注と思われる不思議な形状の白いピアノが置かれていて、ダニエル・パウターは、このピアノに向かって一曲一曲を大切に歌ってゆく。
始めバンドのメンバーといっしょにステージに登場してきた時は、どれがダニエル・パウターなのか分からないくらい地味だった。
メンバーの仲でいちばん小柄で、地味な帽子をかぶっていて、服装も普段着のような地味な格好。
まったく飾り気のない人だ。
ステージの方も、特に大きな仕掛けなどなく、ただひたすら音楽を演奏するというごくシンプルな構成。
しかし、何度もステージから客席に降りてみたり、客の一人をステージに上げたりとサービス精神旺盛で、そのたびに客席は大きく盛り上がった。
こういう客席とのふれ合いの多いコンサートというのが、じつは客にとってはいちばん楽しいコンサートだったりする。
どんな凄い仕掛けやきらびやかな照明を駆使したコンサートでも、アーティストに触れたり握手したりして、じかにアーティストとコミュニケートできるようなコンサートの楽しさには勝てない。
だいたい私が思うに、歌手のコンサートなんてものは、余興の大規模になったようなものに過ぎないのだし、営業なのだし、ファンと触れあう貴重な機会なのだから、歌いながら気軽に客と握手したり、近くで歌ってあげたりといったファンサービスがあって当然で、その程度のものでいいと思うのだ。
エルヴィス・プレスリーのコンサートなんていつだってそんな感じの気軽な雰囲気のものだった。
誰もがマドンナやブリトニー・スピアーズみたいな大げさなショーをする必要などないのだ。
だいいち歌手なのになんであんなばかみたいに踊ったりする必要などあるのだ。
と、また少し脱線してしまったが、とにかくファンを大切にするダニエル・パウターくんの誠実な人柄を感じさせてくれるとても楽しいコンサートでした。
なんとなく衣裳が地味でも、顔が地味でも、それでも、こんなに素敵な歌とピアノさえあれば、こんなにもコンサートは楽しい。
音楽の、ライヴ演奏の、ほんとうの楽しさが味わえるコンサートでした。
大ヒット曲の「BAD DAY」での観客が一体になって歌う場面のなんと素敵なこと。
あらためて、この曲、ほんとイイ曲ですねえ。名曲です。


