
どうしようもなく最強の4人
これはもう誰がなんと言おうと、どうしようもない。
昨日、WOWOWでローリング・ストーンズの埼玉アリーナでのステージが放送されたのだが、もう、これがどうしようもなくスゴいコンサートだったのだ。
そのスゴさというのは、誰かさんのコンサートのように、ステージの仕掛けがスゴいとか、ダンスがスゴいとか、そんなのではなく、ただひたすら、その演奏がどうしようもなくスゴいのだ。
まず、チャーリー・ワッツのドラムがとてつもなくイイ!
そのちょっとしたアレンジが最高に粋で、リズムがよくて、スゴい人だなあ、この人は。
ミック・ジャガーは、やっぱり体鍛えてます! 間違いなく。
鍛えてなければ、あんなにステージ上を走ったら、絶対にあの歳の人間というのは、どこかで、けつまづいたり、転んだりしてしまうものです。
そういうところが無いのもスゴいが、やっぱりヴォーカルがまだまだ衰えを見せていないところがさすがだ。
むしろ若い頃より声が元気になっている感じもある。
そして、キース・リチャーズとロン・ウッド。
この二人のギターというのは、実に絶妙だ。
なんかテキトーに弾いているようにみえて、なぜか曲と合っている。
どうしてああいうフレーズが出てくるのだろうか。
ほとんど感覚的に弾いているような感じ。
ヘッドフォンで二人のギターをよく聴いてみると、ほんとうに面白い。
ほんと好き勝手に弾いたり、休んだりしてるみたいなのに、なんでこんなにかっこいいのだろうか。
スゴい演奏、スゴい音だ。
最新の曲から60年代の曲まで、2時間たっぷり聴かせてもらったが、すべての曲が現代の曲に聴こえるくらい、新鮮で刺激に満ちていて、同じように素晴らしかったところが見事だった。
個人的にはアルバム「STICKY FINGERS」の「SWAY」と「WILD HORSES」が聴けたのが非常に嬉しかった。
もっと、あまりライヴでやらない曲をやってもよかったかもしれない。
まだまだいい曲がいっぱいあるのだから。
しかし、「ミッドナイト・ランブラー」なんかを観てしまうと、他のバンドにこれをやれと言ってももう絶対無理な世界で、どうしようもなく最強という感じがしてしまうのだ。

ブリッジズ・トゥ・バビロン・ツアーからのライヴ録音。
いくら、ストーンズ最高といっても、こうライヴ盤ばかり出されては、さすがにCDを買う気も起こらなくなってくる。
たしかに、このCDも聴いてみれば、スゴいライヴだ。
演奏も今だに進化しているし、新鮮だし、観客の期待を裏切らないものになっている。
だが、繰り返し家で聴くCDというメディアに、毎回毎回ツアーごとの音源を残す必然性があるのかというと疑問が残る。
貴重なライヴのありがたみも減るというものだ。
そのあたりストーンズのメンバー自身はどう考えているのだろうか。
今やツアーに出たら、その音源をCD化して売るというのがルーティン化しているのだろうか。
ライヴをCDというパッケージの形の作品にするにあたって、ほんとうにコンセプトを持って制作をしているのだろうか。
それとも、前述のルーティン化が当たり前とミックもキースも考えているのだろうか。
もし、彼ら自身の思惑に反して、レコード会社の契約上やむを得ずやっていたとしたら、それは残念な話だ。
なぜなら、それでは史上最強のロックンロールバンドではなくなる。
レコード会社が史上最強ということになるから。

ここ数日、NHK-BS2で20時頃からロック映画を連日放送していた。
デヴィッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」やレッド・ツェッペリンやジョン・レノンの映画などだ。
この「Let's Spend Night Together」はもちろんローリング・ストーンズの映画で、内容は、1981年のアメリカ・ツアーのステージの模様をハル・アシュビーが撮影したものだ。
この映画の公開の頃(1982年)は、今だストーンズの来日というのは夢の話であって、実現は不可能と言われていた時代だ。
そのため、この映画が日本で公開された時は、ストーンズファンは間違いなく映画館へ走った。
私もその一人で、映画館の大きいスクリーンで、このライブを疑似体験した。
まだ、ミュージシャンの映像というのはあまり無い時代だったので、こんなに長い時間、ストーンズを観たのは初めてだった。
というか、私にとってストーンズのライヴをちゃんと観たのは初めてだった。
映画でのストーンズのライヴは、今までストーンズに対して私が持っていたイメージとはだいぶ違っていたことにまず驚いた。
それまで、他のロックグループもそうであったが、だいたいロックのライヴというのは暗ぼったい赤い照明の中で、髪の長いむさ苦しい病的な奴らが演奏する、というのが定番だった。
ストーンズも、このツアー以前はそんな感じだったかもしれないが、この1981年の彼らのステージは、まったく違う。
ミック・ジャガーはアメフトの衣裳で健康そのもの。
ポップなイラストがデザインされた巨大なステージを端から端まで走りまくる。
あんなにドラッグで死にそうだ、みたいなイメージだったキース・リチャーズも、細いが、すっかり貫禄がついて、元気に動きまわっている。
色とりどりの無数の風船が昼間の明るい空に飛んでゆく中、「アンダー・マイ・サム」で始まるコンサートは、明るい開放感いっぱいの遊園地のような楽しさだ。
そして、この映画の特筆すべき点は、あまり変な演出を盛り込んでいない点だ。
シンプルにコンサートの模様を伝えているのだ。
コンサートの流れを中断するようなインタビューやエピソードの映像などが一切無く、ライヴの演奏が途切れないところがいい。
また、最近のライヴ映像でよく見かける、曲に合わせてカメラを細かく切り替えるような演出もまったくといいほどしていないところもいい。
カメラを頻繁に切り替えるライヴ映像というのは、ほんとうに最悪だ。
コンサートの楽しみ方を知らない人間が創るとああいう映像になる。
この映画は、なるべくステージの雰囲気が味わえるように創ってある点が素晴らしい。
しかし、このコンサートから25年。
今だ現役のストーンズ、やっぱりすごい。

