![]() | ビリー・ホリデイの真実 ビリー・ホリデイ (1999/02/20) コロムビアミュージックエンタテインメント この商品の詳細を見る |
今まで観たこともないビリー・ホリデイの貴重な映像が楽しめる素晴らしいDVD。カーメン・マクレエを始めとするビリーゆかりの人物たちのインタビューも非常に興味深く面白い。
しかし、なんといってもこの作品のいちばん凄いところは、この不世出のヴォーカリスト、ビリー・ホリデイがあの独特の声、独特のフレーズをどういった表情で、どういった仕草で歌っていたのかを、ライブの映像で観られるという点だ。
映像で見るビリー・ホリデイは、やや中年になってからの映像が多いせいもあるかもしれないが、その切なげな声とは裏腹に、意外に恰幅のいい大柄な女性といった印象だ。
このDVDには、あのサッチモことルイ・アームストロングと共演している、超スゴイ映像が収録されているが、その映像でも何かサッチモより大きく見えるような気がする。
ウィキペディアで調べてみたところ、5フィート5インチ(165センチ)ということだから、当時の女性としては、けっこう大柄だったのかもしれない。
また、こういう声の素晴らしいヴォーカリストに多いが、その顔の大きさも印象的だ。
歌う時、伴奏を聴いている時の、かっと開いた大きくつぶらな瞳といい、この顔の大きさといい、何かすごくパワフルで生命力のあふれた女性に思えた。
時代が時代ということもあったが、彼女の人生はとにかく麻薬、麻薬にまみれた人生で、晩年のアルバム「レディ・イン・サテン」などを聴くと、その声の荒れ様といったら凄まじく、聴いていて怖くなるほどの迫力だが、それでもやっぱり彼女にとっていちばん幸せな時というのは歌っている時だったのかなあ、という気が、このDVDを観てるとしてくる。
それは、彼女の屈指の名曲「奇妙な果実」の映像を観ると分かる気がするのだ。
私は長い間、この悲惨すぎる内容の歌を、ビリー・ホリデイという人はいったいどんな感じで、どんな表情で歌っていたのかと思っていたが、このDVDで初めてこの歌を歌っているビリーの映像を観て、その意外なくらいすっきりとした明るい表情で歌う彼女の姿に少なからず驚いた。
某日本国の大歌手美空ひばり嬢のように毎回、涙を流して悲しい歌を歌うようなことはせず、こんなに暗く陰惨な歌でも、こんなすっきりと軽やかに歌ってしまう。
彼女はやはり歌を歌うことが好きでしょうがない人だったのだろう。
だから、どんな歌でも歌ってる時だけはすごく幸福だったのかもしれない。
ふだんの生活が悲惨すぎたから、歌っている時だけは幸福感に満ちていたとも考えられる。
こういう、生まれながらの歌手という人が何十年に一人現れる。
ふだんジャズを聴くことはほとんどない自分が、ビリー・ホリデイだけは聴いてしまう。
ビリー・ホリデイの声が好きだ。
彼女の声は、せつなくて、悲しくて、優しさに満ちている。
なんてステキな声なんだろう。
当然、かなりの昔の録音なので、音質はあまりよくない。
しかし、そういったことが問題にならない。
いやそれどころか、こういう音が必然に思える。
クライスラー(ヴァイオリン)の自作自演の録音が時代を超えているのと同様、ビリー・ホリデイの声は時代を超え、ジャンルを超え、国境を超えている。
ビリー・ホリデイの声が好きだ。
彼女の声は、せつなくて、悲しくて、優しさに満ちている。
なんてステキな声なんだろう。
当然、かなりの昔の録音なので、音質はあまりよくない。
しかし、そういったことが問題にならない。
いやそれどころか、こういう音が必然に思える。
クライスラー(ヴァイオリン)の自作自演の録音が時代を超えているのと同様、ビリー・ホリデイの声は時代を超え、ジャンルを超え、国境を超えている。


